『ローレライ』

公開初日に見てまいりました。原作既読です。ネタバレとかしますのでよろしく…。さらにあんまり好意的感想でないのでよろしく…。
原作…というと実は語弊があるのでしょう。そもそもは、一つのあらすじから脚本と小説それぞれを書き起こしたと考えるのがいいのでしょう。しかし、それにしても小説版の濃さを考えると…映画は薄い。薄っぺらい。これは脚本の問題だろう。削るべきは削り、描くべきはもっと濃く深く描いてほしかった。
清永のエピソードはいっそ全て要らないと思う。小説での清永のエピソードは、大義名分の上に無意味に死んでいく人というのをあらわしていると思うが、映画版ではまさしく意味がわからない。あそこで必要なエピソードだったのか?ナディアであの手の死に方するキャラいたよね。相当後味が違いますけど。やっぱり清永は『え?ここで死ぬの?』っていう軽い感触しかえられなかったわ…。せめて反乱前だったら…と思う。
それから高須。高須という名前ではあるものの、どちらかといえばフリッツと土谷を足したような役柄か。だけどエラく安っぽい、そしてなんだかよくわからない悪者になってしまった…。勿体無さすぎ。彼の理由がサッパリ見えてこない。読みきれなかったんだけど、土谷設定でアメリカの工作員だったの?
浅倉についていえば、彼の悲劇性というか、悲痛さ、辛さみたいなものがあんまり伝わってこなかった…。これも勿体無い。浅倉を追っていた人もわけわかりませんでした…。小説版での同期という設定は活かしてよかったんでは?海軍の偉い人ではなく、ラストで駆け込んできた彼に語りかけてとかさ。浅倉と、ローレライ内で反乱を起こした集団の絆もいまいちわからず。浅倉の部下は結構いいかんじでしたが。ああ、どうでもいい話だが、大使の奥さんも客に色々いいすぎ!夫の今後の動向や、手紙の差出人とかさ。
私、浅倉と対話した時にもうちょい艦長に揺らいでほしかった。そして、折笠の、奇麗事というか当たり前の言葉に、進む道を見出してほしかった。
もっと長くしてもよかったんじゃないかな…三部作とはいわないけど、そのくらいの時間がないと描けないような気がしてならない。
映像的には、私はそんなに違和感はなかったっす。最後の戦いで玉突きを起こす艦船とか、ワクワクしたよ。マニアでもないんで、軍隊チガーウ!というのもそうそう濃くはなかった。そのへんは感覚として楽しめた。この手の作品でよくいる、死ぬほど命令違反するヤツは超違和感ありますが…。
映画がいいとか悪いとかでなくて、自分がそういうものを希望してたってだけかもしれない。でも、ちょっと不満が残ったなぁ…。原作未読のかたとしては…どうだったのか…。